●達人TOP●まちを元気にする達人への思い●達人一覧表●達人エントリー●達人のStaff●達人の輪

<<< まちを元気にする達人たちFILE018 鈴木輝明 >>>
 
メカトロニクスの達人/鈴木輝明
メカトロニクスの達人/鈴木輝明
 

 
メカトロニクスとは簡単に言えば業務用模型。動く展示用や実験装置の工作機械のことである。実はメカトロニクスの技術は日本が最も進んでいると言われている。ロボット先進国でロボットの大会があったり、大会社からロボットが売り出されたりしていることからも分かるように、ロボットで技術力は高いのだが、メカトロニクスも根本的には同じ技術なのである。北区で生まれ、北区で育った生粋の北区民である鈴木さんの工房、特芸を訪れてみました。
 
特芸 入り口
【特芸入り口】

■ この仕事をはじめたきっかけ
子供の頃から動くものに興味があった鈴木さんは、既に紙や木から動く物を作ったりしていた。機械が好きなので入った工業高校を卒業してからは、3年間ほどコンピューター関係の会社へ、その後3年間を模型の会社に勤めてコンピューターと模型の両方の技術を学び、23歳で独立。現在の仕事に着手したのである。

作業場
【作業場】

■ 一番苦労している点
予算と納期などの制限があるので、それらにあったものを設計して、なおかつお客さんに満足してもらうことが一番大変だという。設計して作って、納期が迫ったのに動かないことは何度かあったのだが、何とか凌いできたそうである。お客さんが喜ぶ姿を見る為に頑張れるのだという。

また発注される側なので、収入が不定期なのも大変なのである。同業者には学校教育用の標本を作りながら、仕事が入ったら工作を始める所もあったりする。特芸でも一時期は5人ぐらいの従業員がいた時期もあったが、仕事の量に波があり、忙しかったり暇だったりするので、なかなか続かないのである。

かがく

■ 技の追求
鈴木さんが作品作りで一番気にしているのは見栄えだという。メカトロニクスは操作通り動いて当然、あとは誇張してでも見栄えを良くしなければ、いい作品とは言えないのだそうだ。実は発注を受ける時は二通りあり、メカに関しては殆ど任されるのだが、デザインはあいまいな発注を受ける時と、ラフなスケッチまでのがある状態で発注されるときがある。ラフなスケッチまであるときは気は楽なのだが、面白みは実はあいまいな発注のほうがあるという。

他にいつも注意しているのは耐久性。展示物になることが多いので、故障中だと価値がなくなるのである。壊れない構造を考え、壊れにくい磨耗しにくい材料を使い、様々な知識を生かして作っているのである。

また企画を常に考えていること。会社を造った理由もそこにあるのだが、時間があるときは常に考えているのである。会社員時代はこの自由がなかったが、これこそが一人でいるメリットなのである。面白い物を思いついたらすぐに作れる状況なので、極端には朝に思いつけば夕方には出来あがる物もある。今でも空いている時間に企画などを考えている鈴木さん。まったく100パーセント自分の考えだけで、作った物が完成したときが一番嬉しいという。

馬
■ メカトロニクスの現状
日本の中小企業は外国製品に怯え、どんどん中国などの海外へ工場を移しているのだが、メカトロニクスだけは海外を恐れないのだという。なぜなら日本の企業や行政から単品や試作品などの発注を受ける場合は、造り手が日本にいる方が、打合せがしやすく仕事が受けやすいし、日本のほうがまだまだ作品の技術力が高いからである。ちなみに東京には、動く模型を製作している会社と呼べる所は個人で行っている所から数十人の会社まで含めても十数社程度であるという。
工房

■ これからの展望
鈴木さん自身は会社「特芸」の会長のようになり、企画開発だけに専念したいという。実は鈴木さんの家系は親の代を継がないという因縁があり、祖父の米屋を親は継がずに、クリーニング屋をしていたのだが、鈴木さんに継がせようとはしなかった。鈴木さんはお子さんが2人おられるのだが、学校の先生で、どちらも「特芸」を継ぐ気はないという。現在は甥と一緒に仕事をし、後継者にと考えている。

あと、実は作るのは得意なのだが、会社としては営業が弱いのだという。作り手とは営業に不得手なので、困るのである。鈴木さんも今は歳も取ってきたので、会社を安定化させる為に商品を開発して売り出そうとしているのだが、なかなか営業が難しいとのことである。

もじ

■ 北区民として
北区十条で生まれ、東十条に引っ越したあと、20年前に現在の上中里に住んでいるという生粋の北区民。北区は準工業地であり、秋葉原にも近く、東京の会社や役所からの発注が来やすいのである。また静かで、北区に工房兼自宅を構えたことは今でも良かったと考えているという。
おもちゃ 橋
鈴木さんに「メカトロニクスとはあなたにとって何ですか」と聞いたら、「ただとにかく面白い仕事だ。毎回、作るものが違う、そこが面白いのだ」という。「この仕事は天職だと思っているから、難しいと思ったことはない」とも語る。メカは実は近年、あまり進歩していないのだが、コンピューターの進歩は目覚しく、メカトロニクスでも制御などで使うため、コンピューターの勉強は毎日欠かせないのだという。でも実はコンピューターを勉強するのが好きという鈴木さんは、未だ創作欲の衰えることのない元気な珍しいおじいさんでした。
取材・文 岡田 俊秀

 
鈴木輝明(すずき・てるあき)

○昭和18年2月19日 東京都北区生まれ
〇職歴:37年(2003年現在)
○役職:特芸(株) 代表取締役
○賞歴:第四回ハンズ大賞 審査員特別賞受賞
     2000年アーバーナート展 佳作
○〒114-0016 東京都北区上中里2-21-10
○TEL:03-3913-7108 FAX:03-3913-9286
○HPアドレス:http://www.tokugei.co.jp
○E-mail:suzuki@tokugei.co.jp