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Networkの達人/池野昇司
Netwoekの達人/池野昇司
 

 
どこまでも凸凹(でこぼこ)と続く黄色いタイルの道や、触れると丁寧なアナウンスの流れる音声案内付き電光掲示板等々。これらは、もはや日本の中でも見慣れた風景の一部となっている。今でこそ当たり前のようにあちこちの公共施設等で見られる、これら視覚障害者またご高齢の方々の為の様々な福祉機器は、当事者の立場にならないと、なかなかその必要性に気がつかないものであろう。今回は具体的にその開発に関わった、池野通建鰍フ池野昇司さんをご紹介したい。

 
■福祉機器開発のきっかけ
池野通建鰍ヘ、創業昭和22年、長く情報通信関連業であるが、同時に福祉の方もかなり発展している。そのきっかけは高度成長時に世を騒がせた公害問題だという。取引き先のあるメーカーが工場排水や産業廃棄物中に含まれる重金属の処分に困っていたところ、一度金属を焼くことで磁気を帯びた材料になると分かり、これを何かに使えないかというところから、池野通建と共同で、「磁気誘導システム」というのが開発されたそうだ。これによって、視覚障害者の方々が迷路のような複雑な街の中を安心して行き来できるようになったのだ。これらの画期的なシステムがたまたまリサイクルといった形で生まれ、役に立っているということは驚きである。


■ よりよいサポートをするために
福祉機器というと、使用者のニーズに合わせて製作する為、どうしてもコストがかかり、結局使用者の負担が大きくなるという課題ゆえ、なかなか開発が進まない分野だ。しかし現在は、日盲連(日本盲人連合協会)とのタイアップで、こんな製品を開発したらいいなとか、こういう風にしていくといいなという生の声を聞き、そして行政の開発機構に働きかけて、補助金をいただき、開発が実現するという流れができている。
「自らも開発して出品し、それで福祉用具認定を受けてサポートしていただけるということがありますので、実際に使う側の負担がかからないようにしています」
使用者のニーズに応えた機器開発には、社内の理解、行政も含めて様々な手続きが必要になるが、そんなことはハードルにはならないようだ。
社の基本精神には『相手の立場になってものを作る』という素敵な言葉がある。
「私の会社の本業は、まぁ通信というのはあるんですが、もともとはインフラである土木系から発してまして、そういうお客様とつきあう中で、その目線というか視点に立っていかないと、なかなか自分たちの都合では世の中生きていけないぞ、と。ちょっと格好いいこと言っちゃいましたね」(笑)

会社の社訓は『誠実・信用・協調・創造』。 お客さんに誠実なおつきあいをし、信用され、信頼され、そして仕事が頂けるという。池野通建では、これに創造という言葉が加えられている。「建設会社ゆえに請負という受け身の仕事が多い中、やはり自らの創造性がないとだめです。精神的なところが根底にあることによって、時代が変わってもまだまだやっていけるよというのが、我が社の良さかなと思っています」世の中、技術はかなり進歩しているが、実はそういう中身の話をどう扱うか、機器や技術ありきでなく、やはり基本軸を持っていないと、流されてしまったり、その場限りのもので終わってしまうということだ。

■今後の目標
現在、池野通建の大きな取引先は、NTTさんといった通信業社、役所等の官庁系、そして民間の三本立て。特に通信業では固定電話やFAXのインフラの部分を担当していたが、昨今の、インターネットや携帯電話の普及による固定電話・FAXサービスの電話加入者離れで、やはりNTTの設備投資がかなり抑制されているというのが響いているという。
では減ってきたものを何か別のものに、とすぐ前向きに切り替えて実行に移すのが池野氏のすごいところだ。氏は、ソリューション事業部というものを今年の十月から発足させ、責任をもつことになった。いわゆる新しいネタや安くてお客様に喜ばれるようなシステムに置き換えられるものは何かということを模索し、実際開発導入していっている。
「そういう色々な新ネタを育てて、ゆくゆくは本業部分に補完できるか、あるいはそれ以上になるかという、そういう使命で今動いています」
その新ネタの一つが、今テレビでも取り上げられている「防犯カメラ」だ。情報を惜しみなく提供しているのは、他社よりも一半歩くらい先のものだという、中には池野通建にしかできないものがあるという自信があるからだ!

ネットワークカメラ
【ネットワークカメラ】

■「この町への思い」
池野氏は、小学3年までを東十条で過ごし、後は転々として、今は世田谷に住んでいる。

メーカー系に勤務した後、20数年ぶりにこの地に、池野通建の一員として戻ってきた。町との関わりは、企業人として東京青年会議所北区委員会に入った時が最初。一回顔を出してやめようかなと思い、同期で入った友人にも「私はこんな会は嫌だ」とこぼしたところ、「あと3年間はどうせ入ったからには、やる意義があるんだよ」と、その一言で変わったという。
やっているうちに、同じような世代の友人・仲間ができたのは財産だ、と氏は語る。今でも公私でつながっているそうだ。現在はというと「地元に貢献うんぬんという話になると・・・、」と苦笑いする池野さん。実は、色々と話題をとった防犯カメラの件で、池野氏は他の商店街の地域活性化に深く関わっている。さらに、次はITを使った商店街活性化の提案をしてくれないかという話がきて、その流れで2件くらい商店街から話が来ているという。「他の地域の商店街さんとは一緒になってやっていて、なんかおひざ元の地元のところはいいのかな・・・(笑)」

いつか地元に貢献したいという池野氏、この十条の地で活躍する姿が見られるのは近い将来のことだろう。

■若者に伝えたい言葉■
「若者は若者の良さがあると思います。ただ今の時代は景気が悪くて皆暗くなっちゃうじゃないですか。やはり自分の将来がどうあるべきか、一つの夢とかになってくると思うんですが、そういう括弧たるものを持って、ただ、今、こう時代背景なので、どう生きていくかという哲学、ポリシーを持たなくちゃいけないと思います。社内で若手を見ますと、扱う仕事は技術的には進歩していますからそちらの方面の企業に目は向いてはいますけれど、その分色々な会社からオファーがあったりします。それだけにうちの会社に魅力がないのかということになるんですけど、自分の哲学とかポリシーを持っていないと、会社がどうこうではなくて、流される可能性があります。自分もやっぱり若いやつにそこまで言えるかどうか。何年先、こうしたいな、こうあるべきという、その目ですよね。色々な考え方があると思いますけど、どう今の現状を生きていこうか、あるいは打破していこうかということですね。
親の小言みたいですね。私も若いのでこうありたいなとは思います!?」

とてもシャイな方というのが第一印象の池野氏だったが、開発やシステムの話しをしている氏の目はキラキラと少年のようだった。

取材・文 辰巳 まな

 
池野 昇司(いけの・しょうじ)

○昭和38年 東京都北区生まれ
○役職:池野通建株式会社 常務取締役 
○〒114-8544 東京都北区岸町1-9-4 池野王子ビル
○TEL:03-5993-7177/FAX:03-5993-7122
○HPアドレス:http://www.ikeno.co.jp/new_page_2.htm