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見捨てられた古い機械リサイクルの達人/大沼久生
見捨てられた古い機械リサイクルの達人/大沼久生
 

 
「世の中はもったないことだらけ!今の日本は『ムダの追求』ばかりしている」。
鋭い目つきだった。70歳を間近に控えているとは思えない。インタビューの間も、事務所には電話が鳴り止まなかった。元気いっぱい大きな声で応えている。受話器を置くと、また大きな更に大きな声で語り始める。「他人のために何ができるのか?自分のためなら何でもやるでしょ?…そういうことなんです」

北区は東十条、大沼機工株式会社の大沼久生さんを訪ねた。

 
■古い機械のリサイクル…
大沼機工株式会社。中古工作機械の販売及び買入れが主な事業だ。大きな倉庫を関東周辺に8箇所所有し、機械の整備・修理・塗装・試運転も行っている。「世の中には、まだ修して直せば使用できるものがたくさんあります。限られた資源を生かし、高くて新しいものを買えない人に安く提供したい」

大沼機工は、社会貢献部門を受賞した。

■本気でやれば
出身は山形県村山市。中学を卒業後上京。「時代はちょうど、朝鮮動乱が終わった頃。とにかく親孝行がしたくて鉄道員になりたかったんです」。夜間の商業高校へ通いながら、機械関係の会社へ勤める。そこから、大沼さんと「機械」との長い長いお付き合いが始まった…。苦労話は尽きないと言う。しかしそれ以上の喜びがあった。「本気でやれば、苦労なんて大したことないんです…」。そう言って大沼さんはご自分が大事にし続けてし続けてきた「文句」を教えてくれた。
「本気ですれば大抵のことはできる
本気ですればなんでも面白い
本気でしていると誰かが助けてくれる」
倉庫内

「今では仕事が趣味で、趣味が仕事。工作機械のコレクターをやっている様な感じです」。「工作機械」の「工作」とは小学校の授業にあった、あの「工作」。ものに穴を開けたり、削ったり、折り曲げたりするための機械。「ものづくりの根本を支える機械たちなんです。だからこそ僕は、この仕事が大好きで…」

■人のために…。
ご家族がクリスチャンだった大沼さんは1983年、日本基督教団赤羽教会にて洗礼を受ける。1990年には赤羽教会壮年会の会長へ選出された。「人(隣人)のために何ができるか?それが全てなんです…」また、現在は財団法人東南アジア文化友好協会の理事も務める。途上国へ多くの工作機械を寄付し、技術指導でも尽力する。「だから、人のためなんです。仕事だってそう。単純に機械が大好きで、(機械の)気持ちまで分かるから、大事に付き合っていきたいだけ…」。ある日のこと、会社を興した若者が、小さな工場に必要な機械を探しに大沼さんを訪ねた。あまり資金もなく、新しい機械は買えない…。一通り話しを聞き終えた大沼さんは、なんと無償でその若者に機械を譲った。その様なエピソードは、他にもあるという。「出世払いな!って言ってやるんです。頑張って欲しいんですよ。ま、でも返ってこない時のほうが多いんだけど(笑)」顔をくしゃくしゃにした、豪快な笑顔だった。その時にふと感じたことがある。大沼さんにとっての本文は環境的(エコロジー)な「リサイクル」というものなんかではない。「人」や「もの」に対する真摯な「愛情」こそが、大沼機工にとっての「リサイクル」なんだったと。
取材・文 栗山宗大

 
大沼久生(おおぬま・ひさお)

○昭和11年1月 山形県村山市生まれ
○役職:大沼機工株式会社 代表取締役
○〒114‐0001 東京都北区東十条6-5-12
○TEL:03-3902-6818
○HPアドレス:http://www.onuma-mc.co.jp/home.htm