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環境の達人/亀田新吉
環境の達人/亀田新吉
 

 
「ほら、この辺にも大体ごみの数が150万個あるんですよ!」
思わずのけぞってしまった私を見て、にこにこ笑っているのは亀田さんである。一言でいうと、「ものを囲う」という変わったお仕事が生業の亀田さんは、温度・湿度・それに伴う念波や、音、臭い等の空気清浄度を制御し、安全で快適な作業空間を作り出すことを目的に3年前、(資)環境空研を創業された。

 
■ 独立のきっかけ
雨上がりのきれいな尾瀬の山、そんな中でも微粒子カウンターのスイッチを入れれば、約10万個のゴミ微粒子があるとか。ゼロにするのは無理としても1万個以下にしたいという用途がある。製品を作る課程で一切のゴミを嫌う、クリーンルームと称する非常にせまい世界である。一般には専門的な分野だがその活動は最先端を走り、大手企業から大学、研究所など多くの得意先を持っている。生み出した製品は、散水露天式恒温・恒湿空調方式・低温散水によるアンモニアの除去・脱臭により飼育者にも動物たちにも常に快適な飼育環境を実現したスグレモノ。
これらバイオクリーンブース・無菌空調機等の設計から製作まで手がける亀田さんは、独立するまでは、友達・関連の会社3社で10数年サラリーマンとして勤務していた。
「今は、その発展なんです。同じことを馬鹿の一つ覚えのように20数年間やっています」という亀田さん。内容は全く変わらず、何故、今独立なのかと問うてみた。
クリーンルームというと坪当たり何十万、何百万、何千万とかかるものもある。今までの顧客のように、病院、研究室、工場といった大手の最先端なら導入も可能だが、町工場となるとそう簡単にはいかない。しかし様々なお店のこだわりをお助けしたいという亀田さんの思いは、独立することによって「こんなのできないか」「じゃあ、こんなのできますよ」という対お客さんでニーズに具体的に答えていき、無駄なところを省いてなるべく安く提供するという形で実現したのだ。常に使う立場に合わせたオーダーメイドが「環境空研」の良いところなのである。


■この仕事を始めたきっかけ
30年前、昭和アルミの営業マンだった亀田さんは、北は北海道から南は九州まで、時には海の向こうまで、冷蔵庫を売って回っていた。冷蔵庫といっても農協で使うような大型要冷庫でパネルプレハブ式と呼ばれたが、当時はまだ八百屋には置いていなかった。市場の真ん中に冷蔵庫をデンと展示し、現金を持った八百屋のおやじと「いくらだ、高いな。もうちょっと安くならねぇか」「いくらならいいですか?」「いつ?」「すぐ!今日!」といった具合に顔を突き合わせて直接交渉が始まる。冷蔵庫は、始めは小さいものから段々と20坪30坪と大きなものを作るようになり、そのうちスーパーのバックヤードを作るまでになっていた。その部屋の環境を整える為、同時期にクリーンルームというものも作り出した。これがものを囲う仕事の始まりだった。

そして、この「ものを囲う仕事」を何とかもう少しうまく発展できないかなと思った亀田さんは、バブルの前に昭和アルミを辞職し、専門的に研究開発を始めて現在の道に至ったのである。


■異業種間の交流
独立した3年前、顧客はゼロからスタートした。
といっても、長年この道で作り上げた繋がりで、仕事先を紹介してもらったり、起業時に新たな出会いを求めて入会した「夢企業」でどんどんネットワークを広げている。
夢企業とは、自分で新しく会社なりを作って独立したいという方が入られる、北区の企業家支援セミナーで、菓子・ジュエリー等多種多様な企業の異業種交流の会である。年の違う方や同世代、若い方、また8割が女性だという。月に一度の食事会で、情報交換や相談などできる大切な仲間たちである。
もう一つ所属しているのが食品加工のグループ「新食品加工研究会」。約40社が所属する。
やはり今までやっていた食品関係にもターゲットを絞っている。元々、食品関係を主に扱う冷蔵庫の営業マン。関係者とは20年近く、飲み仲間でつながっている。もちろん仕事としてもだ。

菌数を少なくして、安全でおいしくというものを作る為にどうすればいいか、ということで、ある人は物を小さくパッケージし、またある人は添加剤、凍度の高低、中には腐らないようにする酸化防止剤など各々の役割を持つ。亀田さんは、缶物の加工・部屋の空調など、中のゴミを落とす仕事を担当する。そのように仲間と手を組んで、業者が困っておられる時に現場に出向き、お客様と直接話しをして仕事をすすめていく、異業種だが協力しあって一つの仕事をやり遂げる理想的な形なのだ。

食品関係というと、小さなお店が多い。そういうところで「きれい」を作る。きれいであれば悪くなるものは少ないのだ。菌を少なくした環境を作るのをお手伝いするというのが亀田さんの仕事。逆に大量にものを作る会社は大変である。ちょっとでも菌が入ってしまうと返品数量が多いため、その損害は大きい。例えば、カビが大敵の餅屋さんの切り餅。一度黴びると全部だめになる。ものすごいスピードで作る為、製品数も多いが、かびると全部入るので全部捨てなければいけない。中堅の会社でざっと2千万から3千万の損害になるのだ。そういう意味で亀田さんの仕事はとても大事な役割を担っているのである。

■亀田さんのポリシー
〜間に業者がなるべく入らず、お客の生の声がきける形を〜
「遠い、近いは言いません。どこでも行きます。現に行ってます」
昨日も東北からお戻りになったばかりの亀田さん。冷蔵庫の営業時代と変わらず日本列島を飛び回っておられる。広告や電話営業だけでは物も売れないし声もかからない。会話がないとだめ。とは言っても、今の時代は直接ユーザーではなく、クッションに商社が入っている。そちらから頂く仕事が多いのが現状だが、なんとかユーザーに近づいていくというのが今の課題でもある。

■今後の展開

現在は、食品関係とバイテク(バイオテクノロジー)の二本立て。あと15年、飯を食うためにも、そろそろ3つ目を探す時期にきているという。もうすぐ60代を迎える亀田さんだが、70くらいまで何とか頑張りたいという。。「本来はうんとお金を設けて、どこかで楽隠居すればいいんですけども、貧乏性なのでそれは多分できないと思うんですよね」
これからの課題は、売り上げアップと会社の組織化。現在は奥様の乃里子さん、協力会社の方が2人の計4人で運営している。できれば7,8人まで増やしてやっていきたい、という亀田さんの脳裏には、この仕事はこれから増えてくるはずという確信がある。

例えば写真のお酒。酒屋さんは喜ぶし、作る側も楽しいし、おいしければお客も増える。
その他にも「新食品加工研究会」は、12月に「豆腐そば」を、また今年は傷物が多く実りが悪いというりんごを「すりおろしりんご」として発表する予定だとか。市場で出せない物を、今までにない形でどんどん出していく。

バイテクと新食品。『医食同源』というそうだが、物を囲うという仕事と確かにどこかでリンクしている。そんな視点、新しい切り口で「環境空研」はどこまでいくのだろうか。

次は一体何がでて来るか、楽しみである。
お酒
取材・文 辰巳 まな

 
亀田新吉(かめた・しんよし)

○合資会社 環境空研
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