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鉄工製品の達人/小山好一
鉄工製品の達人/小山好一
 

 

2003年年末一番寒い日、小山さんは機械の沢山ある工場へ温かく迎え入れてくださいました。私自身はとても「鉄工業」という世界に興味津々で憧れというものをも感じていました。「鉄」から様々なモノを創造していく、そんな空間に今日はいます。

小山製作所
【小山製作所入り口】

■ この仕事を始めたきっかけ〜現在大手の製鉄会社から脱サラし、起業をされた先代のお父様が、三年前他界されたとのこと。毎晩遅くまで仕事をしている父親をの背中を見ながら、大学時代から何となく手伝っていくうちに序々に引込まれていかれたそうです。ある日突然「買ったんだよ。」と高額の大きな機械等、お父様の腕がかなり良かったので、直接手習いすることとなられたそうです。そして、バブルのあおりで景気が中々回復しない中、若手の方も雇われたそうですが、古くからの職人さんと若手との折り合いが良く無く人間関係の方に翻弄されてきたので、5年前に全て人事入れ替えをし再構築されたそうです。現在、奥様も大切な戦力になっていらっしゃるとのことでした。

お父様からは、隠し事無しに職人技を伝授して貰い、技術は誰にも負けないと自負される程。なんと20年前に購入した2千万円もする機械で様々な仕事をこなされているとのことです。

団塊の世代で、競争率が高い中を生きてきているので、努力する事は惜しみ無くやり、職人的な昔ながらの仕事もできますし、ITの進んだ機械も導入し、いつでも様々な依頼に対応できるようにしているのだそうです。


■「技術」という財産をどう守るか
現在、町工場から移り、周りの方も職人技術をもっている七社が集まる環境はとても良いのですが、技術を持った人の後継者をどうやって育てるか、と言う事を考えると今の時代とても難しいと言われます。

「例えば職人に直接習うよう、授業等で組み込むという形で、職人のいる工場と工業学校等とが手をむという事も考えていかなければ、日本の工業技術の向上と今以上の発展は望めないのではないかと思うのです。それは必ずしも自分の子供が跡継ぎをする環境でなくなってきたからなのです。」と…

肌で覚えていかなければ、基本がなければ、0を知らずして8や9は分からない。コンピュータでやっていても、失敗した時に何が作用してダメだったのかを検証できないのです。

ベーシックになるノウハウはどちらにしても「人」が持っている。


■生きる道
ある試作品をモデルにして、量産をすることになる。量産品は2〜3個で良い、それをそのまま海を渡って技術ごと取られてしまう。そのうちに「いいモノ」は出来なくなる。どこでも出来るものではなく、技術を問われるものを考え出していかなければ「生きる道」はない。それが厳しい現状なのです。

小山氏
【「カタチ になるからやめられないないんです。」と小山さん。】

 

■この仕事をやってて良かったと思う瞬間
ただの「鉄」が形になってくる。形になっていくということが一番の喜びですね。無理難題を言われても、何とかしてやろうと挑戦し燃える。そのお話している充実感のある小山さんの顔を見ていると、勇気とやる気を貰えました。


■大仕事

ステンレスの超音波の振動芯・・・
長さは10cmもあり、その先端が2mmまで削りネジにするというものをやりました。半端でなかったですよ。と楽しそうに答えてくださった。

技術屋バカと言われるが、できなければ悔しいいまでも夜中までも朝までもできるまでやってしまう、ご自分を「コンビネンスファクトリー」(24時間営業工場)と呼んでいる。
でも年と共にそういった無茶はやめないとなぁ?と思うんですけど、ついつい…と苦笑い。

特注品
【JRから注文があったもの「特注品」】
(線路のまくら木を敷く時には絶対必要なモノなんです!)

■今こそ!

モノ作りは「原点」に戻らなくてはならないと思います。
数を作るというだけでは、海外に仕事を取られてしまうので、できるだけ「付加価値を付けたもの」を、そして「すぐ真似されるモノは作らない」ということをよく認識しながら仕事をします。まだ日本にある全てのノウハウは渡っていないと思うんですね。もっと活用すべき知的財産もさることながら、マイスター(職人)のような方を保護して残していかなければならないと思います。もっと突き詰めると、大企業ではなくその下請けの会社、その「下」の中に、技術を持った人がいるので、そこを守らなければ技術はなくなってしまうでしょうね。原材料としては、日本は何も無いので、誰にも真似できない付加価値(加工)が一番大切なんです。
と、モノ作りにおける現状と今後をお話してくださった。

小山氏


■ 次世代に向けて一言
ITといわれますが、若い人はすぐにITの入った機械を使いたがりますが、もっと基礎部分を我慢強く腕を磨いていかなければならない。自分で将来なにがやりたいかを明確化できるように
例えば、コンピュータでプログラムされた事で失敗したとします。でも、基礎からわかっていなければ、その失敗した原因が分からないんです。自分の頭で考えるという事、本当に大切だと思います。
最近、大工さんになりたいという若者が多くなっている、これはいい事だと思います。

自分がどうやって生き延びるかを考える、それが大切な事だと思います。


■製品の手順
1) 原料(素材)
2) 下加工
3) MC(アナログ作業)
4) 焼き入れ(硬化させる)
5) デジタル 熱して即冷却すると強度が増す
6) 発注の形に形成して完成!

※小山さんの手掛けられる「モノ」は、例えば、大掛かりな電車の線路を作るまでに使う「部品」であったり、送電線に登って作業する際に使用する「工具」等、実用化されているモノは少ないが、実はそういった「モノ」がなければ、この便利な世の中が実現することはないのです。

小山氏と愛犬 【愛犬のとは12年のつきあい】

(一緒に出勤してます。しっかり工場の番をしてくれるんですよ。)



■ 今後はやっぱりアナログ
デジタルが、いくら便利だと言っても限界がある。これからはアナログにもどっていくと思っている。それは、日本の未来を担う子供達が、モノづくりが楽しい!やってみたい!と思える機会を作ることだと思いました。「昔と違って、技術を盗め!等と職人的な発言はしません。できるだけやる気のある方には、多くの技を惜しみ無く伝授したい。」と、小山さんから意欲的な答えが返ってきた事は、正直私はびっくりしました。しかし今大切なことは、「やりたい」という気持ちを守る事でないかと感じています。

取材・文 福田 理恵


 
小山  好一(こやま・よしかず)

○昭和22年7月17日 川崎生まれ 北区育ち
○職歴:45年(2003年12月現在)
○役職:有限会社 小山製作所 代表取締役
○〒115 東京都北区神谷1-3-7
○TEL:048-227-3866/FAX:048-227-3867