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メカトロニクスの達人/染谷武
メカトロニクスの達人/染谷武
 

 

東京都北区の富士見銀座にある「まちなか工房」は、ものづくりを楽しむみんなの憩いの場所である。私も例外ではなく、何かと理由をつけて遊びに行く。「まちなか工房」とはそんな場所である。そこで、何回かお会いしていた染谷さんは、実はエレクトロニクスの達人であった。日曜日の昼下がり、「まちなか工房」で は新しく立ち上げる機械であるミニフライスキット(金属・木工等を加工する本体)の組み立てが行われていた。そこで、常に笑顔で周囲を和ませてくれる染谷さんを取材した。


■メカトロニクスとは?
メカニクス(機械でものを動かすこと)とエレクトロニクス(電子の働きを利用した学問・技術のこと)を組み合わせた言葉。電子制御で機械を動かす仕組みのことをメカトロニクスという。


■ミニフライスキットを使って文字や絵の彫刻をしてみよう!
金属や木工に文字や絵を彫るためには、ミニフライスキットが重要な役目を担う。しかし、そのミニフライスキットの組み立ては簡単ではなさそうである。組み立て中にキットが正しく動作しない??その原因をつきとめなければ…。楽しそうに、試行錯誤している工房の仲間たち

フライスキット    動作状況を検査する機械
【フライスキット】 【動作状況を検査する機械】
パソコン上に描いた文字や絵をフライスで削るためのツールソフトとしてCAD(キャド:コンピューター支援設計の略で、コンピューターを利用して設計を行うシステム)と、CAM(キャム:コンピューター支援製造の略で、CADを実際に動かすために変換して、コンピューターの画面上で設計やモデリングをするために用いられるもののこと)がある。残念ながら、取材中にはキットの組み上げができず、私が帰った後にスキットが完成し、作品が出来上がっていくのを見てワッと歓声が上がったそうである。

けずり    けずり
【けずりの作業】

作品
【作品】


■電動車いすとAAATEでの論文

染谷 武さんは2003年9月にアイルランドのダブリンで行われたAAATE(ヨーロッパの研究発表機関のことで、日本では「欧州リハビリテーション工学協会」という)にて、『頭部操作による電動車いすの運転』という論文を発表した。その内容は、首を左右に動かすことしかできない重度のハンデキャップを持つ人が、自分の意志で、自分の行きたい方向へ、そして自分ひとりで動かせる車いすを研究・開発した報告である。


■研究中に苦労したこと

手や足にハンデキャップを持っていても、言葉がハッキリ言える人は「みぎ」、「ひだり」と言えば、コンピューターが認識して車いすを動かしてくれる。しか し、言語障害をもつ重度脳性麻痺の人の場合は、正しく発音が出来ないばかりではなく、自身の体さえも自分の意志とは全く関係ない動き(不随意運動)を起こしてしまう。自分がこう動きたい(随意運動)という思いと、不随意運動が同時に起きてしまうため、意志とは異なる動作になってしまう。自由に車いすを動かすためには、随意運動と不随意運動を判別しなければならないのだが、そのアルゴリズム(問題を解決するための論理上の方法)はそんなにたやすい事ではなく、とても苦労したそうである。


■笑顔が見たい
「重度のハンデキャップを持った子どもたちは、今までひとりで何かをしたことがなく、常に誰かに介助してもらっているのが現状である。しかし、自分の意志で『動いた!』という喜びがこどもの自信へと繋がり、人生が180度も変わってしまうでしょう…」と。そう語る染谷さんの顔は本当に嬉しそうで、子どもたちの笑顔を見つめている姿が目に浮かぶようだった。


■「まちなか工房」にて
今回は、ミニフライスキットを仲間の人達と組み立てながらの取材となったが、工房の中はいつも笑い声が湧く。本当にみんな楽しそうだ。染谷さんはこう言って いる。「まちなか工房にはみんな家族≠ニいう暖かい雰囲気がありますね」と。フライスキットの組み立てを優しく教えている姿はまるで、『お父さん』だった。ちなみに、趣味も多彩に持っている染谷さんのHPも是非見て頂きたい。
組み立て風景
【組み立て風景】
 

取材・文 鎌田 葉子


 
染谷 武(そめや・たけし)

○昭和16年9月22日 浅草生まれ北区育ち
○元大学助手
 日本リハビリテーション工学協会会員
○東京都北区西ケ原4-22-13
○HPアドレス:http://www.kitanet.ne.jp/~someya/