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<<< まちを元気にする達人たちFILE055 久保 栄仙 >>>
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■友禅染めの歩み 友禅染めの創案と確立は、元禄時代に活躍していた宮崎友禅斎によるものといわれている。 友禅は日本の染色の代表的なもので「染めの絵画」とまでいわれている。 四季の草花をはじめとして、あらゆる事物現象を図案を求めて、糊置き防染法により色彩豊かに、自由に染め上げる。 扇の美しい模様を着物に描くということで、扇絵師たちを指導したのが宮崎友禅斎である。 (久保 栄仙先生から拝借した冊子より抜粋) ■栄仙?? この日の取材の一番始めの質問は・・・ 「栄仙」何と読むのですか?だった。 そして、恥ずかしながら「これは俗に言う芸名ですか?」などと聞いてしまった私に向かって。 久保先生は、笑い声を発しながらも懸命に笑をこらえていた。 「芸名というよりも、屋号ですね。」と、笑い続けて教えてくれた。 そして、私はその笑い声に誘われて緊張感から解放された。 この屋号は、夫である栄仙氏と共に仕事をしている時から使用していた。 夫が他界してから、引き継ぐという形でこの屋号を使用しているそうだ。 久保先生は、とても小柄で60歳を過ぎているとは到底思えない程、愛らしい雰囲気の方だ。 案内された場所は、久保先生の仕事場であると同時に、教室にも使われているというので、広々とした空間だった。 そこに、1枚の大きな振り袖が掛かっていた。目を見張るばかりの、色彩豊かな作品に私は言葉を失った。成人式の振り袖として、注文を受けた品らしい。 とにかく圧倒される色使い。久保先生が、「私は華やかな色使いが基本的にすきなんです。」と、おっしゃった。着物の上に描かれた花達。実際に袖を通して、二十歳の女性が歩く様はきっと回りを魅了するだろう、と思わずにはいられなかった
■この世界に入るきっかけは? との答えは、間髪入れず「偶然です」と一言。 武蔵野美術学校から夫の栄仙氏とは一緒で、卒業後の仕事探しの際、偶然に見つけたのが友禅染めだったそうだ。そして、絵を描くことが元来好きだった二人にとっては、天職とも言える出会いだったとおっしゃった。実際、仕事を始めてから後に、久保先生が3年間の修業に行った。生計を立てなければいけなかった為、長くは修業に出れなかったらしい。 それでも、偶然に出会った仕事が天職と言いきれる事は、とても素晴らしい事だと、未だ暗中模索の私にはよい刺激になった。 ■手描き友禅の魅力は? 「奇麗」ということでしょうね。 それとやはり、手描きという点での「温もり」が作品に大きく影響される点ですね。と、久保先生。 また、自分が作品を仕上げている時、楽しくてしょうがないんです。と、目を輝かせておっしゃった。修業や弟子入りというイメージは、少なからずも「辛い」という印象を与えるが・・・ 久保先生は、修業時代も「早く一人前になりたい」という目標があっただけに、辛いというよりも、とても有意義で楽しかったと、懐古してくれた。その当時、住み込み弟子が主流であったため、久保先生のように通い弟子は珍しかったという。 ■手描き友禅の簡単な工程 下絵から始まる作業は、構図が仕上がった時点で作品の7割方が完成と言われる。 それ程、重要な割合を占める構図は、デッサン力をも要求される。 その部分も始め、描くことが好きな久保先生にとっては、全てに於て「楽しい」と言える要因になることを知った。
■色作り・色載せ 着物の場合、全体の色はとても重要になってくる。 全体の着物の色を決めてから、色を一箇所載せると自然と次に載せる色が決まって行く。図案を考えるのは別として、約1カ月程で仕上げてしまうという久保先生。 作業は早いんです。 そして、最終段階に入り完成に至ったとき、「あぁ、良かったこの色で」と思いますね。色の基本色は12ほどありますが、色をその時その時で作っては載せて行きます。波に乗ったときは、楽しくて色の配色もスムーズに行えるます。色を作っても、それが実際にその部分に合わないだろうな。と思うこともありますね。作りだせる色は無限大ですから。色載せの話しを伺っているときも、とにかく、作品作りが楽しくて仕方がないという雰囲気が伝わってきたのが、とても印象的だった。 ■伝統工芸の継承について 難しいでしょうね。 ただ、今、教室を開いているのですが、その中から時間があって才能があって続けて行って下さる方がいればいいかなぁ。とは、思っています。職業として教えて行きたいけれど、着物を着る方が少なくなっていますから、どうしても、注文も少なくなってきてます。そうすると、自然、作業をする数も少なくなるとどうしても、技の向上も望めませんしね。 と、久保先生。 しかしながら、久保先生の望む所は・・・ 染色の多くが機械化され伝統の技が実際失われていく今日。友禅染めは、華麗、繊細。まさに、日本独特の世界に誇ることのできる美しい染め物です。その伝統の技を受け継ぎ、構成に伝える役割を認識し、先人の技法を勉強し、それを踏まえ現代の友禅染めを追及・発展させていきたいと考えています。
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取材・文 下瀬 文 |
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