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<<< まちを元気にする達人たちFILE058 秋山 静江 >>>
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■臈纈染め(ろうけつ染め)とは? 熱で溶かしたロウを筆に含ませ、綿生地に模様を描き染め抜いたもの。 ロウで模様を描いた部分に、染料がのらないので模様の部分が白く染め抜かれます。 ろうけつ染めの原点は、古い着物を染め直すという昔の人の発想から始まったとも言われているそうだ。 ■お邪魔しました・・・ 2月28日午後。赤羽駅前にある、北区立赤羽文化センターにお邪魔しました。 この日、秋山先生が教える「ろうけつ染め」の教室が午後1時から始まった。 生徒さん達は、机や椅子を移動させ。机の上一面に新聞紙を広げたりと準備に忙しい。 その側に腰をかける秋山先生に挨拶を済ませた私。実は、この日少し体調の悪かった秋山先生。 しかし、気さくに何の前触れもなく話しを始めてくれた。 ■ろうけつ染めを始めたきっかけは? 今から約50年前。「独立・自立した生活を」という目的で教室が初めて婦人を相手に始まった。 その時の先生がが、故吉田秀世さん。 当時、秋山先生は手作りのネクタイを作った。 そのネクタイに、何か絵を描くと奇麗だろうな、と思い始めたのがろうけつ染めを始めるきっかけとなる。そして、吉田先生に付いて、ろうけつ染めの魅力の虜となる。 現在、友禅染めとろうけつ染めの線引きは厳密にはだんだん無くなっているらしい。技術面でもかなり似ているらしく、描く際に「のり」か「ろう」を使用する点が大きく異なるようだ。 では、秋山先生があえてろうけつ染めをを選択したのは何故だろう?と、質問してみると。 「ここで私が習っていた頃、吉田秀世がろうけつ染めを教えてたのよ。その頃、友禅染めなんて知らなかったのよ。ただそれだけよ。」と、さばさばした口調で言った。 伝統工芸を受け継ぐため、吉田秀世が亡くなった後に秋山先生は一転、生徒から先生へ。 先生になられたきっかけは?との質問にも・・・ 「吉田先生が亡くなって、誰もいなくなったのよ。だから、始めたの。ただそれだけよ。」と、長年の付き合いであるらしい、一人の生徒さんに向かって言った。 すると、その生徒さん。 「静ちゃんは、やっぱり上手だったの。他の人より。」と、付け加えてくれた。 実際のところ、吉田先生は作品をあまり多くは残してはいないらしい。 残った生徒さん達が、残してくれた数点の図案を集めてきては、自分たちで勉強しながら、「ろうけつ染め」の技術発展に貢献している。 ■伝統工芸…継承について ありきたりな質問ではあるが、伝統工芸の継承については常に疑問がよぎる。 この質問に対して、秋山先生は「廃れてしまうでしょうね。」と間髪入れずに言った。 「仕方ないわよ。若い人がいないんだもの。」と、それでも笑顔で答えた。「でもね・・・」と、続ける先生。 「確かに、ろうけつ染めという形では残っていかないにしても、友禅染めの中の一つの技法として残ったり。染色部として、どこかの教室で残って行ったり。実際、ここでやっているように趣味の範疇で残って行ったりはするでしょうね。」と。 また、生徒さんも「作っていて楽しいから、可能な限り続けて行きたい。」と答えた。 ここでは、実用的な暖簾やストール、また、染めた後に手を加えて小物類を作りあげる。 女性ばかりのその教室。一番年配の方に歳を伺うと・・・80歳。 その方が最も元気で、広い教室内を行ったり来たり、活動的だった。 そして・・・「せっかく来たんだから、あなたもやって行きなさいな。」と。
■初めてのろうけつ染めに挑戦 見ながら話しを聞く。「ろうけつ染め」とは?を、理解したつもりでいたが。 やはり、実際に体験してみると見方は随分と変わるものだ。 そう、「ろうけつ染め」は難しい。そして、面白かった。 初めての私に、回りの生徒さんを巻き込んで手取り足取り説明をしてくれた。 ■ろうけつ染めの簡単な手順 まず、図案の上に白の布を待ち針で動かないように止める。 鉛筆で布に下の図案を描き写す。 描いた図案に沿って、筆に溶かしたロウでなぞる。 (ここで失敗したら、後戻りは出来ない。一度付いたロウはそのままの形で浮かび上がる。) 描き終えたら、ロウを解かし染める。 スレンと呼ばれる染め粉(還元剤)を85度で溶かす。 それをステンレスの桶に入れ、ロウで描いた布を入れ染める。 15分間。それ以上時間を置いても濃さは変わらない。 染める際、高温の方がきれいに染まるが、ロウが溶けてしまう。 ここが、ろうけつ染めの技術で、36度で染めるのは描いたロウを流さないようにする。 染めた後、一度干す。 藍色は、風に当てて始めて藍色になる。 染めた時は、どちらかというと緑色に近い。 その後、ロウを溶かし流す。 ロウの溶かす方法はそれぞれ。 今回、私の作品は小振りだったので、教えてくれた女性はポットのお湯で溶かした。 ボールに布を入れ、お湯を張り浮いたロウを新聞紙で吸い取る。 それを数回繰り返して完成。
■ろうけつ染めの魅力 自分で描いた図柄が、作品になること。 また、想像した色に染め上げる難しさとそれが出来たときの歓び。そして、何よりも手作りの温もり。難しい点は、出来上がりまでどうなるか分からない。それは、同時に「手作り」の良さでもあるのよ。と、締めくくった秋山先生。 そして、今回の取材で最も印象的な言葉は… 「何でも世の中、ぴったりという訳にはいかないのよ。」と。 つまり、教本通りには事は運ばない、と秋山先生の持論。これがダメなら、この方法を。と、常に勉強し続けなければならない。それが、強いては伝統工芸の継承に繋がると考えているそうだ。 今回の取材は、実に楽しく過激な会話の内容が飛び交った教室内で行われた。 私は、個人的にこの教室に足を運びたくなったことを付け加えておきたい。 |
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取材・文 下瀬 文 |
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