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  サーフボード作りの達人/三井健夫 サーフボード作りの達人/三井健夫  

 

東京北区王子。北本通りと環七通りが交差する騒がしい新神谷橋を離れ、比較的空の広い静かな住宅地にあるマンション。サーフボードを作り続けて30年。有限会社M-fiberglass社長、三井健夫さんを訪ねた。

■音楽
三井さんは現在53歳。取材にお伺いした3月5日が偶然にも誕生日。初対面でなんと言って良いのか分からず、口篭もってしまったので、この場を借りて、おめでとうございます!
三井さんは生まれも育ちも北区王子。中学生の頃からバンドを組み、ドラムを担当、インストゥルメンタル音楽をなさっていた。中学3年から20歳ぐらいまで、ディスコやクラブでドラムを叩いていたという。本気で音楽の世界で生計を立てて行こうと思っていた三井さんは、クラブなどでの演奏のかたわら、18歳から2年間、日本ジャズ音楽学院に通う。「インストゥルメンタルだけじゃ喰って行けないので、当時全盛期だったグループサウンズを、ミリタリーファッションで演奏してました。」そんな折、サーフィンと出会う。


■サーフィン
食べて行くには歌謡曲を演奏しなければならない。単調なリズムで、決められた音を出して行く。それが嫌だった、耐えられなかった。
サーフィンの面白さをしってしまった三井さんは、ドラム演奏のみちを捨て、サーフィンにのめりこんで行く。


■雷族
「雷族だったんですよ。」
? 
雷族とは?
広辞苑を引くと「(けたたましい音を立てることから)暴走族のこと。」とあるが、
「暴走族じゃないですよ。アイビーの格好をして、七三に分けて、ボタンダウンのシャツを着て、サーフボードを車に積んで銀座へナンパをしに行っていました。」そういう人たちの総称らしい。
「最初はカッコいいなあと思って、ファッションから入ったんですよ。」
取材にお伺いしたのは昼下がり。そばに奥さんがいらっしゃる。私個人的には、当時の「遊び」について、掘り下げてお話を伺いたかったのですが…。


■魅力
アマチュア時代に全日本の大会で3位になった後、プロテストに合格。ロングボードのプロとして、東京のシニアチャンピオンにもなったことのある腕前。経験の浅い頃は、気候の変化が読めず波にさらわれ、勝浦から御宿までパドリングしたこともあるという。一番大きな怪我は、ハワイで6メートルぐらいの波にまかれた時だった。
「ハワイは、波のないフラットな状態から、いきなり大きな波が来るんです。その時は、沖に小さな盛り上がりが見えたんですけど、気付いた時にはもう遅くて、必死に逃げたんですがダメでした。」
多くの危険が伴うスポーツ。その魅力は?
「波は気まぐれで、同じ波は二度と来ない。一瞬一瞬の判断で波を征服して行く感じが好き。それと自然を相手にする喜びです。」
あまり多くは話していただけなかったが、サーフィンの話は、特別楽しそうに話して下さったように窺えた。「まあ、やってみなよ。分かるから。」そんな風にも聞こえ、サーフィンに興味を持たせて下さった。


■開店
1975年にサーフショップをオープンする。現在東京には300件以上のショップがあるそうだが、当時はたったの8件。サーフィン人口も少なく需要もないので、オートバイの部品などの製造販売を手がける家業を手伝いながら、やりくりしていたという。
「ただ製品を売ってるだけじゃつまらない。」
23年前に工場を設立。
「サーフボード作りは、形、デザイン、次から次へと新しい物が出てくるのが面白い。」
サーファーが作るサーフボード。カスタムオーダーで、ビギナーからトッププロまで、一人一人にあったベストサーフボードを提供している。現在は、カリフォルニア、フロリダ、オーストラリアのシェイパー(ボードを削る職人)と契約。地域の特徴を生かしたサーフボード作りもしている。詳細はホームページをご覧になってください。
最近の流行は、7,80年代のものらしい。
「最近の7,80年代の音楽ブームが、サーフボードの流行に反映されている。」


■製造工程
1.プレーナー
元となる板をカンナで削る。
2.樹脂加工
ポリエステルに硬化剤を混ぜたものを使う。固まって行く段階でガスが出ることと、時間との戦い。ここが最も大事。
3.フィンのセッティング
フィンを取り付ける
4.サンディング
やすりがけ
5.仕上げ

三井さん

■サーフィンを通じて
三井さんは、サーファーの育成にも尽力なさっている。これまでにも数々のプロサーファーを育ててきた。それだけではなく、少年院を出た若者、ヤクザだった人、自閉症の子、様々な人を、自然とサーフィンを通じて更生させてきている。まさにもの作りの中で人作りをなさっている。
座右の銘は、
Go for it.
Have a good surf.
「何事にも思い切りが良くないといけない。」
サーフィンを始めようと思っている方もそうでないかたも、思い切り良く、お店の訪ねてはいかがでしょうか。

 

取材・文 三島 浩


 
三井 健夫(みつい・たけお)

○有限会社M-fiberglass
  PLUNGING SURF (Show Room)
○東京都北区王子4-23-7 1F
○TEL:03-3914-4746/FAX:03-3914-4769